3,うどん粉の種類を決める原料小麦

小麦の分類

小麦いろいろ  

 小麦はイネ科のコムギ属に属し、その中にいろいろの種があります。それらの種は、ひとつの小穂に稔実する粒数で分類されます。 「一粒系」、「二粒系」、三粒以上のもの「普通系」と「チモフェービ系」で、各グループ間で染色体数が違い、一粒系=14、二粒系とチモフェービ系=28、普通系=42などです。  一粒系には食用にむくものはなく、二粒系のデューラム小麦はマカロニやスパゲティを作るのに適しており、他の小麦とは性状がかなり違います。  現在、世界中で食用として栽培されている小麦のほとんどは、普通系の小麦で、ごく一部の地域で普通系のクラブ小麦が少量生産されて、これは一般に菓子用に使われています。

商品としての小麦の分け方

 小麦は「銘柄」、「等級」の組み合わせで分類され、「銘柄」は小麦の顔であり、どういう性状の小麦で、どういう用途に向くかを示すもので、植物学的分類、生産地域名、品質上の特徴などを単語を組み合わせて命名されています。  「銘柄」はさらに「等級」に分けてあります。これらによって、小麦の品位を知ることができます。(表1,2参照)

冬小麦と春小麦

 秋に種子を播いて翌年の夏頃に収穫する「冬小麦=ウィンター」と、春に播いて秋に収穫する「春小麦=スプリング」とがあります。
日本のほとんどの地域で栽培される「冬小麦」は、アメリカの大部分、アルゼンチン、オーストラリア北部、ヨーロッパ南部などで作られており、「春小麦」は、ヨーロッパやアメリカ北部、カナダなどの冬季の寒さの厳しい地域に限られています。
「春小麦」は、パン用に適性があり、うどんは「冬小麦」に適性があります。

赤小麦と白小麦

 粒の外皮の色合いが、褐色系統のものを「赤=レッド」小麦といい、黄色系を「白=ホワイト」小麦と呼び大別しています。また琥珀色のものを「アンバー」、濃褐色のものを「ダーク」といいます。日本の小麦は、「赤=レッド」系です。

硝子質小麦と紛状質小麦

 粒の切断面が半透明に見えるものを「硝子質」小麦、白くて不透明なものを「紛状質」小麦といい、一般に硝子質小麦はタンパク質が多く含まれています。

硬質小麦と軟質小麦

 硝子質で粒が硬いものを「硬質小麦=ハード」、紛状で軟らかいものを「軟質小麦=ソフト」といい、硬質小麦でやや軟らかいものを「準硬質小麦=セミハード」、軟質小麦でそれ程軟質でないものを「中間質小麦」と呼ぶこともあります。めん用粉は軟質小麦が用いられます。

  • 小麦の性質

     小麦粒の大きさや重さは、品種・生育時の天候・土壌条件などで決まり、生育時降雨量が十分ですと、小麦粒にデンプンがしっかり形成され粒は大きく充実し、逆に雨が少なく干ばつ気味ですと、やせて小粒になる傾向があります。

      外皮の色(赤小麦=褐色系)(白小麦=黄色系)の濃淡の差も、生育環境によって影響をうけます。収穫期に多量の雨に当たると褐色化して品種固有の色ではなくなり、霜にあうと表面にしわが寄った粒になります。早刈りは緑色粒が目立ち品質が落ちます。収穫期近くにカビに侵されると、そのカビ特有の色が付き硬度にもかなり差が生じ、品種固有の特性が失われます。

  • 日本の小麦生産

      1970(昭和45)年代の初めの頃までは、関東・九州を中心に比較的小麦作に適した土地ではほぼ全国的に生産されていましたが、北海道での生産は多くありませんでした。しかし、現在では、国内生産量の半分強が北海道で、残りを主として北関東と九州で生産するパターンに変わっています。

      食糧用小麦中での国内産小麦の比率(内麦率)は15%強で、めん用にしかむかず、その適性も生産地によって異なり、満足できるレベルでないものもあります。国内産小麦は、産地や品種で品質差が大きく製粉性がよくありません。製めん性が劣る(消費者が望む”おいしいめん”を作りにくい)といった問題を抱えています。

  • 国内産小麦の性状

    種類、銘柄、等級

     種類は、「強力小麦」「普通小麦」および「種子小麦」とがあります。

      硬質系品種のハルヒカリやアオバコムギに認定されると、「強力小麦」に格付けされますが、国内は、自然条件が強力小麦の生産にあまり適さず、品質が中途半端なため、積極的な需要がなくごくわずかしか生産されていません。大部分は「普通小麦」で、農産物規格規定によって定められた品種の小麦を定められた道府県で生産したものは、産地銘柄に認定されます。
     銘柄は、1987(昭和62)年から良質麦への生産誘導を図るため、次の四つの銘柄区分が導入されました。

     「銘柄区分T」=次の要件をすべて満たす小麦であること。
    製粉および製めん適性の評価において国内産小麦の中では上位ランクのもので、需要度が高いもの。
    過去3年間の年平均出回り数量が各都道府県(各都道府県を二つ以上の区域に分けた場合にはその区域)別に1,000トン以上のもの。
    原則として各都道府県の奨励品種。
    検査にあたって品種の判定が可能なもの。
    ?
     「銘柄区分U」=次の要件をすべて満たす小麦であること。
    製粉および製めん適性の評価において国内産小麦の中では中位ランクのもので、需要度が高いもの。
    過去3年間の年平均出回り数量が各都道府県(各都道府県を二つ以上の区域に分けた場合にはその区域)別に500トン以上のもの。
    「銘柄区分T」のc)およびd)を満たすもの。
    ?
    「銘柄区分V」=「銘柄区分T、U、W」以外のもの。
    「銘柄区分W」=今後「銘柄区分W」以外への作付け転換が必要なもの。