シオデ Smilax riparia var. ussuriensis

ユリ科 シオデ属
花期:7−8月 明るい日の光の差し込む林の中に、若緑色した新芽がひときわ高く背伸びして春風にやわらかく揺らぐその姿は、いかにも女性的な感じで目に映ります。 秋田地方の名高い民謡で「ヒデコ節」はこのシオデをうたったものです。シオデは、アイヌ語のシオテがなまってシオデとなったと言われています。 またこのシオデは、芽立の姿形が牛の尾に似ているところから漢字で牛尾菜と書き、秋田民謡のヒデコ節とくらべて見る人によって、こうも異なるのかと驚きます。 山野に自生している雌雄異株の多年草で地下茎(根)は固く横に這い長く強い細根を生じます。茎は長く伸び立ち1メートルから2メートルにもなり、初めの頃は自立しますが、後に他のものにもたれ掛かりながら成長します。葉は卵形で先端が鋭尖となり質は薄く基部が少し心形をします。葉柄は1、2センチあり、托葉をつけてこの托葉が巻毛となります。 花は5〜6月頃に、葉腋から花柄をつけて先端に散形花序に細い淡黄緑色の小さな六弁花を丸く咲かせます。花後に、球形の果実を結んでやがて黒く熟します。 この仲間にタチシオデ(Smilax nipponica 花期:5ー6月)がありこれも食用となり、若芽立ちの頃はシオデと見分けにくいものです。そのほか、葉の細いホソバシオデという地方形があり食用で、また、新潟県の佐渡に特産のサドシオデがあります。このシオデの味は格別で、他に山菜の王様があるならば、このシオデは女王か貴婦人とたとえられます。 優れた味を生かすには、余り手をかけない料理がよく、なまじ手の込んだ料理では特有の風味が消えてしまいます。ゆでて、浸し物かマヨネーズ和えなどは女王の貫禄十分です。