ミチヤナギ Plygonum aviculare(タデ科 タデ属) 日本各地の道ばたや野原の日当りの良い所に普通に見られる1年草で、茎は円柱形で分枝して斜上あるいは直立して10〜40cmになり緑色で質はやや硬く、葉は短い間隔で互生し、葉腋の茎部が竹の節状に膨らみ紫色を帯びます。楕円形ないし長楕円形の葉は、先は鈍形、全縁、質は薄く軟らかく、小さい葉鞘は膜質で裂けています。5月〜10月にかけて葉腋に数個ずつ小さな花を付けます。 漢方では開花期の全草を乾燥したものを「扁蓄」または「扁竹」と呼び、扁竹(ヘンチク)は葉腋のところの茎部が竹の節のように膨らんでいることに由来すると言われています。 ミチヤナギはタデ科の仲間で、このタデの仲間にオオケタデがあり、昔幼い頃のママゴトの代表的な材料で、花穂を摘み取り”赤飯”に見立て「オコワ(赤飯の桐生地方の方言)」と呼び、小さな食器に盛り、夢中で遊んだのを思い出します。 「タデ喰う虫も好き々々」と昔から俗諺されているように、皆強い個性をもっています。また「へんちくな奴」という方言もあり、これもタデの強い個性を表徴した俗諺ではないでしょうか。 私達の地方では、山地の少し開けた小さな沢沿いの空き地に、真夏の太陽がそこに集中するかのように燦々とそそぎミチヤナギを成育させています。そこには他の植物はほとんどなく、根方に丈の低い芝が生じています。今日では、普段、このミチヤナギを薬用に採取する人は見かけられず、生涯学習などの学習サークルの特定の人達が野外実習の時に説明を受けて採集する程度のようです。 以前は市街地の空き地や庭の一角によく見られていましたが、生活環境の進展に伴い、身近な庭もブロックなどで整然と区画した花壇となり、人々は花壇の中に好みの草花を植えて賞でながらも、周りの草には農薬を散布し除草しています。時には、ミチヤナギも雑草として死滅させられて姿が見られなくなっています。これは現代生活の知恵でしょうか。 私は、昔から培われてきた尊い知識まで古い事として捨て去る昨今に疑心をもちます。多くの事柄を積み重ね保存し伝承する事の大事さと共に歩き、努力する者の一人であり続けたいと思います。 |
|