ゲンノショウコ Geranium thunbergii(フウロソウ科 フウロソウ属)
肌をひきしめる。山や野原に最も普通に自生している多年草で、古くから民間薬として使われてきた優れものです。薬効は普通健胃、整腸、強壮とされて、下痢、腹痛などに使われ止瀉剤として働く一方、便秘の時には緩下剤となる独特の作用が知られています。 名前の由来は、この薬効が速やかに”現”われることから”現の証拠=(あらわれの証拠)=ゲンノショウコ”と言い、また漢方では”玄草”と当て字されて”ゲンソウ”と呼ぶことから”玄の証拠=ゲンノショウコ”とも解釈されます。 ゲンノショウコはフウロソウ科の一品で、仲間が沢山あります。採取に行くと、白花や赤花(深紅≒F−淡紅≒F−淡紅色)など、また葉の形が少し異なるもの、茎立ちも葡匐するものや背伸びするものなどが目につき、不安になります。 ゲンノショウコは”Geranium thunbergii SIEB. et ZUCC.”で、日本薬局方ではGeranii Herba としてネパールYの”Geranii nepalense SWEET.”を指定していますが、日本のものはネパールのものと少し異なっているといいます。 市販されているゲンノショウコは多くの種類があり産地によって異なります。
これらが採取されて一種または混合されて使われています。このようなことから、摘み取る時の不安も”現の証拠”です。 ゲンノショウコ”Geranium
thunbergii SIEB et ZUCC”は、北海道南部から本州、四国、九州などに自生しますが、各地に仲間が地方形の特徴をもって、何々フウロと、フウロソウ科の名で呼ばれているので、大変戸惑うのではないでしょうか? 例えば、ハクサンゲンノショウコ、アサマゲンノショウコと呼べば不安は解けるのでは? 桐生地方には白花が多く、他の花でも、例えばイカリソウなども白花で北の尾根をひとつ越えると赤花が見かけられます。花色が風土に適応したのでしょうか。また、ハクサンフウロは葉の切り込みが多く細かく分かれているのが大きな特徴です。このような特徴を理解すれば採取時も楽しくなるでしょう。 他の草花との違いをあえて言うならば、癡tの萌え立つ頃は、里地の田んぼの畦道などで、ウマノアシガタやキツネノボタン、ツルキツネノボタンなどが見間違われがちですが、この時期はまだ採取期ではなく、採取期になるとこれらは黄花を咲かせゲンノショウコとはっきりと区別できます。 また、ゲンノショウコをネコノアシガタと方言するところもあり、ウマとネコとを間違えないように....。 ゲンノショウコは、普段からお茶の代わりに飲むと良いことが昔から知られ、お年寄りの愛飲者が今でも大勢いますが、なぜか若者達には定期的に飲む人がほとんどいない昨今です。しかし、世間では健康飲料の自動販売機があちらこちらに所狭しと立ち並んで大繁盛しています。生活が細分化された近代指向で本当に便利になった半面、ゥ給ゥ足が不要になり、化学農薬や化学肥料の多用による薬害汚染で、野辺の一画の野草の採取にも不安をもたらされ、井戸水や水道水までも一部では不安視するまでに進んだ近代文明を怪げんして清涼飲料水ブームになっているように感じるのは私だけでしょうか。本来、健康飲料は元気な身体をさらに強健にして、生活に抵抗力を増大させるように使うものですが、現実には悪化する飲料水の代替にしているのではないでしょうか。 しかし、幸いなことに私たちの桐生地方は源流から真水が滔々と流れ、森林は緑深く沢沿いの道端には木漏れ陽を受けて一面に分厚くゲンノショウコが繁茂します。この場所は日本の森林浴百選のひとつにもなっています。薬草を沢山摘んで、汗したあとの真水の美味しさは正に文字のとおりです。 この場の感動と幸福感を多くの人々に分かち合えたい思うとともに、このような場所が全国いたる所に再現できることを願いながら、健康茶を自給ゥ足する今日この頃です。 |
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