フキのトウ Petasites japonicus

フキのトウ Petasites japonicusキク科 フキ属
花期:3−5月

山や野原に白く点々と淡雪が見えるのに、フキのトウは冬の堅くしまった大地を突き破り、四方を見渡しながら枯草の仲間達に「オーイ春だよ!春が来たんだよ!」と北風と遊びながら呼んでいる。
 一番元気なフキのトウに顔を近付けてみると、サクの中からくす玉のように小さな真綿で作ったような白い花が「おはようございます。」と言って、少しピンク色になって見えます。私が手を差し出すと「早く春のお料理を作って皆さんに春を知らせて下さい。」とあちこちから仲間達が大勢背伸びしているので、さっそく春の料理を作ってみました。

* 料理の作り方とコツ *

フキのトウは春の香りを食べるもので、料理としては前菜(つきだし)、ちょっとした”おつまみ”それに早春料理の引立て役と思って下さい。

香りは良いが苦味が少し強いのが欠点です。そこでしょくぶつのニガミは健胃剤としての効果があり、全部消すより少々のニガミは利用したいものです。

また、この季節に咳が出てタンがからむときにこれを食べて、タンを切り咳を鎮めると言うことで、昔からフキのトウはタン、咳の妙薬として重宝がられてきましたので、これらの事も考えて料理を作りたいものです。

【フキのトウの田楽】

  • 材料一人前。
  • フキのトウ中くらいのもの3〜5個、みそ、砂糖、ミリン、酒(いずれも少々)これで甘みそを作っておきます。
  • 3〜5個を、生のまま串ざしにして少々弱めの油で空揚げをします。空揚げすることによってニガミが分解されて、半分くらいニガミが取れると共に煮上がり、串ざしのまま皿に盛り付けて、上に甘みそをのせて田楽料理が出来上がります。

【酢の物=変わり仕立て】

  • フキのトウを適当量、油で空揚げしてから、その材料に付いた油をお湯で流し洗いをして、大きなものは4つ切りまたは2つ切り、小さいものはそのまま甘酢(2ハイ酢)の中に付け込みます。
  • 盛りつけは、甘酢を振り切るくらいに絞って数個小鉢に盛り込み、新しい甘酢もしくは3バイ酢、黄味酢、酢みそ、カラシみそなどを上からそっとかけて出来上がります。

【その他】

  • 生のまま細かく切り、生みそカツオなどを入れてねりまぜて熱いご飯にのせて食べるのも春を思わせます。
  • そのほか無数に作ることができますが、皆様もいろいろと楽しく考えて、野の春、食卓の春、心の春を迎えて下さい。